サルヴァナ・タワー/Salvana Tower
【シリーズ 世界の廃墟】
2020年12月某日。
スペインのバルセロナにあるサルヴァナ・タワーという廃墟を訪れた。
このサルヴァナ・タワーはバルセロナの郊外にあり、その歴史は古く、12世紀頃に建てられたとのこと。今回、バルセロナに20日ほど滞在する機会があったので私は大みそかに、このサルヴァナ・タワーを目指した。
こちらがサルヴァナ・タワーの最寄り駅の様子。
中心街に比べると、かなり閑散とした場所で、たまに散歩中のご近所さんに遭遇する程度だ。しかし、この近くには、ガウディが建設した『コロニア・グエル教会地下聖堂』があるため、コロナ渦でなければ、たくさんの観光客がいるのかもしれない……。
交通量もそれほど無い緩やかな坂が続く。バルセロナは郊外に来ると急な坂や階段がある場所も多いが、この辺りはそれほどキツイ道のりではなかった。
5分ほど歩くと、それらしき入口を発見する。門のようだが、それに繋がる塀はなく、これだけがポツンと取り残された感じであった。恐らく、この奥にサルヴァ・タワーがあるのだろう。門をくぐり、私は茂みを進んだ___。
最近は街中にある廃墟や観光廃墟に行くことが多かったので、こういう茂げっとした道を進むのは久しぶりだ。
数分歩くと茂みから抜け出す___。
それは、突如現れた。間違えなくサルヴァナ・タワーだが、塔というよりは何かお城的な様相である。サイズ感もよく、正面に立つと、その存在感に圧倒された。
外観は廃墟としてパーフェクトと言った感じ。これは中の様子も相当気になる所……。早速、探索を始めようと門に手をかけるが……。
門はがっちりと施錠されており、チェーンのたるみも少ないため、太ったおじさんが通り抜けることは到底無理な状況。しかし、これほど良い廃墟を前に諦めて帰るわけにはいかないので、他の入口を探すことに___。
そしてタワーの右手に少し下る階段を見つける。階段を降り、少し茂みを進むと、何とか登れそうな場所を発見する。
80代の腰を持つ中年男性は、必死に塀を登り、何とか中への侵入に成功する。どうやら外の門さえ突破すれば、中は自由に探索が出来そうだ。
内部は思っていたより肉付きがなく、外壁を残し、ほとんどが崩壊している状態であった。また多くの植物が自生しており長期にわたり、この状態が続いている事を思わせる。
また多くのゴミや焚火の跡があることから、頻繁に侵入されていることも分かる。近所の若者たち、またはホームレスなどの侵入が絶えないのだろう……。
さらに奥へと進み、探索を続ける___。
とくに現役時代の何かがある分けではないが、古い外壁と植物、さらにグラフィティが相まって廃墟としては、とても魅力のある空間であった。丁度お腹も空いていたので、ホテルの近所で買ったパンを食べ、休息をとる。
そして最後に、この廃墟のメインと言っても良い塔の部分を調査することに___。
現在いる場所からグルっと塔を半周したところに、塔の入口を発見する。
塔の中には、毛布や衣服の様な物があり、誰かがここに住んでいた痕跡はあったものの、それ以上に鳩のフンが凄かったので、現在は使われていない様子であった。何より塔は階段もなく、登る事はできないようだ。
そして入口付近へと戻ってきた。
私は1時間ほど滞在し、この場所を後にした。ひと気のない場所に、ポツンと存在するサルヴァナ・タワー。この様な誰も寄り付かない場所にある廃墟は本当に美しい。これからも引き続き、世界中の廃墟を探して回りたい……。
最後に___。
駅に戻る途中、サルヴァナ・タワーが少しだけ見えた。
あの階段もない塔の頂上には、旗が風になびいていた。
一体、どうやって旗を立てたんだろう……。
おわり。
Salvana Tower
A tower that sleeps on the outskirts of Barcelona.Intrusion is required.
Location: Barcelona Spain
Shooting date: 12/2020
category: Abandoned Places
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