トルニャン村に残る風葬文化/Terunyan cemetery


注意:この記事には遺体や人骨の写真を掲載しております。
caution: Pictures of corpses and human bones are posted in this article.


2019年2月某日。
インドネシア・バリ島の北部にあるキンタマーニ郡を訪ねてみた。

キンタマーニは活火山である`バトゥール山`やその麓にある`バトゥール湖`が見所の観光地だ。その中で私はバトゥール湖の東に位置するトルニャン村に残る風葬文化について興味を持った。

風葬とは遺体を埋葬することなく地上に安置し、長い年月を掛け遺骨にする珍しい葬送だ。

トルニャン村の風葬が行われている墓地はバトゥール湖の外れにあり、ボートを使ってでしか行けないという難しい立地にあるようだ。ネットの情報によれば、村人にお金を払えばボートで連れて行ってくれるとのこと……。

早速、バリ島の宿泊先であるデンパサールからバスに乗り、1時間30分ほどで観光地ウブド(Ubud)へ。さらにウブドからレンタルバイクで北上すること35km⇒バトゥール湖周辺に到着。

到着が夕方となったため、トルニャン村へは翌日向かうことに……。


翌朝____。
一泊だけお借りした宿からバイクでトルニャン村を目指す。
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バイクを走らせること数分。
早速、バトゥール湖ごしのバトゥール火山という絶景が目に入ってきた。

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同じ活火山である富士山に比べると山頂部分がかなり欠けているのが印象的だ。
この景色だけでも充分に来る価値のある場所だ。

宿泊先付近では綺麗に舗装された道も次第にデコボコに…。
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道中にはこんな場所も……
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モトクロスコースのような急な坂と荒れた土壌。
スクーターでこれを登るのはかなりしんどかった。

険しい道を進むと何かのゲートに到着____。
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`トルニャン`と書いてあるので恐らくこの村だろう。

ゲートの近くでは村の人たちが10名ほど集まって何かをしていた。

覗いてみると……


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絶賛、豚を解体中。
豚を絞めて食べるという事は何かのお祝いだろうか。

トルニャン村と書いてあったが、どうやらまだ先のようんだ。
更に10分ほど進むともう一つの集落が見えてきた。
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恐らくボートが出航する場所はあのエリアだろう。
ここまで長い道のりだった……いよいよ勝負どころだ。

到着___。
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バリ島の各地には素敵な寺院があるが、こちらもまた立派な寺院だ。
バイクを寺院の横につけ、湖に近づくと3人組の男性が「どこへ行くのか?」と声をかけてきた。

「セメタリーに行きたいけどボートある?」と尋ねると「OK!」と即答が返ってくる。
慣れた様子だ。

そして500,000ルピアを請求される。
日本円で約4000円。

高い……。

1000円程度を想定していたが遥かに高く、しかも私は400,000ルピアしか持ち合わせていない。

『これしか持っていない!』と財布の中身を見せアピールするがOKが出ない。
交渉にも慣れているようだ……。

次第に相手側の人数も増えプレッシャーを与えてくる。
しかし本当に400,000ルピアしか持っていない。

最終的に隠し資金の5米ドルを追加で渡して、ようやく交渉は成立。

ボート乗り場へと向かう。

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ライフジャケットまで用意してくれた。
この事からやはり多くの観光客がここに訪れており、彼らが客を取る条件としてライフジャケットの貸し出しが義務付けられているのだろう。

ボートに乗り込み出発。

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湖に隣接する家は浸水状態。
家の中は大丈夫なのだろう…すごく気になる。

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手漕ぎボートのため男性二人が懸命に漕ぐもなかなかスピードが出ない。
変な縦揺れで少し酔ってしまった。

出航から10分ほど桟橋のような物が見えてきた。

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どうやら到着したようだ。
桟橋に船を付け、ボートから降りる。

すると早速、インパクトとある入口が出迎えてくれた。
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生い茂った木々に苔の生えたレンガ。
頭蓋骨も並べられていた。

私は20分で戻ると約束し中へと進む____。

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大木が良い木陰となっており、もともと気温の低いバトゥール湖付近だがより涼しく感じた。
ふと横をみると……。

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奇妙な人形だ。
のちに知ったが、これも一つの風葬の形だそうだ。

さらに進むと大量の頭蓋骨が並べられた祭壇?を発見。
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おそらく風葬で骨となった頭蓋骨はこの祭壇に置かれるのだろう。
不謹慎だが、アート作品のようだ。

そしてこちらが現在、風葬中のカゴだ。
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竹で作られた三角の特徴的な形。
数は少ないが圧倒される雰囲気だ……。

しかし匂いがまったく無かったため、最初は既に使用されていないのでは?
と思ったが、覗いてみる……。

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いらっしゃいました。
こちらはすっかりと骨になっていたので恐らく近いうちに祭壇に移動されるだろう。

カゴの周りには生前の写真やゆかりの品物がお供えされていた。

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こちらの方は生前に足を悪くされていたのだろう。
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松葉づえが掛けられていた。

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こちらのカゴ、九の字になっている黄色い部分が腕だ。

詳しいことは良く分からないが体内の油が浮き、このような色になるのではないだろうか。
だとするとそんな前の遺体ではないことは間違えなさそうだ。

さらにこちらの遺体。
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まだ顔に多少の肉が付いており表情が見受けられる。
なんだか少し苦しそうにも見える。

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私は20分ほどの滞在でこの場所を後にした。
いくつかボートの男性に質問をしてみたが、どうやら彼はあまり詳しくことは知らないようで良い回答は頂けなかった。
ただ『ずっと昔からある文化だ』と教えてくれた。

再びボートに乗り、無事に村へと帰還。
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今回のバリ島滞在での大きな目的であった風葬を目に出来たことは本当に良かった。
形は違えど亡くなった方を弔うという心は共通であると感じた。

これからも色んな国の文化や風習について触れていきたいと思う。


最後に今回のMVP。
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地獄のような道のりを一度も転倒せず乗り越えてくれたMr.HONDA君。

ありがとうございました。

Terunyan cemetery

Location: Bali Indonesia
Shooting date: 02/2019
category: Cemetery & Funeral

It was a difficult journey, but it was a good experience.
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