廃村パパン村/Papan village

【シリーズ 世界の廃墟】

2024年1月某日、マレーシアのペラ州にあるパパン村という廃村を訪れた。ここはマレーシアの首都クアラルンプールから列車で2時間半ほど北に進んだ場所にある。今回、ひと月ほどクアラルンプールに滞在する機会があったので、パパン村を訪れた次第である。

こちらがパパン村の最寄り駅にあたるバトゥ・ガジャ駅のようす。
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ローカルな駅だが、結構な人数の方が利用する駅であった。駅前には大型のアウトレットモールもあり、これから発展していきます感が凄い。ちなみに隣駅のイポー駅は、国際空港もある大きな駅なのだが、目的のパパン村へは少しだけ、バトゥ・ガジャ駅の方が近いようなので、ここから歩いて向かうことにした。でも10kmはある。

お天気が、かなり不安な感じであったが、この時期のマレーシアは雨季なので仕方ない。雨合羽を装備し歩き始める。
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駅から5kmくらい歩いたところだろうか。喉かな田舎道を進む。駅から2kmくらいのエリアには、コンビニやホテルなどがあり、ある程度の賑わいを見せていたが、この辺りは静かであった。それでもガソリンスタンドや食堂なんかもあり、常にひと気を感じられるエリアだったので、緊張感はなかった。

それでも、野牛の横を通るときは怖かった。柵もなく、私が歩く縁石内の草を食べている。彼らのタックルを常に警戒しながら、刺激を与えないよう進む。
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しかし、可愛らしい子牛に見とれているとお母さんが思いっきり脚を鳴らし、威嚇してくる。人間界も動物界も独身おじさんへの風当たりは強いようだ。

さらに5kmくらい進むと目的のパパン村の案内看板を発見する。漢字では'甲板村'と書くようだ。
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ローカルな村を紹介する看板にしては、かなり立派な物である。実はパパン村は100年以上の歴史ある建物が並ぶエリアとしてマレーシア国内では、知られた観光地であるようだ。また完全に廃村という訳ではなく、多くの建物には今でも住民の方が住んでいるそうだ。

どうやら住民の方に配慮した上で、調査する必要があるようだ。それでも合法で廃墟探索が出来る時点で、だいぶ気は楽である。早速、看板の案内に沿ってパパン村を目指す。
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看板が設置された箇所を曲がると、更に良い雰囲気になってきた。一応、電気は通っているようだが、ローカル感は半端じゃない。時折り、数台のバイクが行き来するが、住民の方だろうか。怪しまれないよう全員に会釈するが、逆に怪しくなってしまった。

何だか素敵なお墓もあったりする。
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天候を除けば、ここまで順調な展開であったが、ここで私を悩ます者たちが増えてきた。そう爆裂野良犬である。東南アジアにおける野良犬には幾つかのパターンがある。都会で暮らす野良犬は、私のような外国人を見ても、お構いなしか、または怯えるかどちらかである。一方、田舎にいる野良犬は、地元の人には懐いているが、外部の人間には敵意を剥き出しにしてくるケースが多い。ここにいる野良犬たちもどうやら、後者であり、結構な勢いで警戒を見せてくる。

彼らを上手く往なしながら、道沿いに進んで歩くと目的のそれが姿を現す。
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歴史と風化を感じさせる素敵な家屋である。この一帯には写真のような家屋が並ぶ。まるで、あの大きな看板を曲がってから、別の次元にでも入ったような気さえする。事前の情報どおり、現在も人が住んでいる家屋もあり、軒先ではお父さんがくつろいでいた。とくに外国人観光客である私にも警戒する様子はなかった。

さっそく、パパン村のメインストリートにある木造建築を見て回ることにした。

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パパン村のメインストリートにあたる、この通りには、木造の長屋のような建物が並ぶ。こちらは現在のパパン村を印象付ける最も有名な建物であり、廃墟好きとしては何だが身震いするような美しさであった。

パパン村は元々、木材業が盛んな村であった。1880年代に錫石(すずいし)の採掘で財を成し、ピーク時には2000人以上が住む村であったが、錫石の価格下落などの影響を受け、多くの方が隣町のイポーに移り住むこととなり、次第に人口が減っていたとのことだ。
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現在でも、このメインストリートを中心に100名以上の方が住んでいるとのことだ。訪れた日があいにくの天気だったことも関係するのか、はたまた観光地としても、既に人気を失ってしまったか定かではないが、私が滞在している間に、出会った他の観光客は一組だけであった。

一応、観光センターみたいなものや村の案内板なども整備されており、このメインストーリー以外にも有名な宮殿があったりと魅力的なポイントはいくつかあるようだ。
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また商店などのお店は確認できなかったが、メインストリートには小学校もあったりと、ここで生活する方の日常も見ることが出来た。

しかし、私が建物に近づくと猛烈に怒ってくる犬がおり、彼が厄介であった。
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もう少し外国人にも優しく対応してくれれば嬉しいのだが、現役で使われている建物も多くあるので、住人達を守るために怒っているのかもしれない。

とりあえず、非常食に持っていた豆を良い塩梅で彼に投げて、注意を惹き、建物内部を少しづつ観察していく。
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内部は外壁以上に状態が悪い箇所が多かった。これだけの湿度だ。木材の劣化も、より早いものになるだろう。それでも自然に侵食されていく、その姿は廃墟として美しいものであった。

私は1時間ほど滞在し、パパン村を後にした。
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今回、マレーシアの滞在において、最も訪れて見たかった場所のひとつであったパパン村。途中激しい雨に見舞われたり、野良犬たちの激襲にあうなどタフな探索となかったが、その苦労に見合う美しい場所であった。

近年、フォトジェニックスポットとして、賑わうローカルな場所も多くあるが、パパン村は何だか良い意味で賑わいもなく、静かな原風景を保っていた。これからも世界中の美しい場所を巡っていきたい。
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最後に。

結局、その日のうちにクアラルンプールに戻ることはできず、バトゥ・ガジャ駅から2kmほど離れたエリアのホテルに1泊することになった。夕食は近所のファミリーマートで購入したコレ。
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ザリガニのおにぎり。是非、日本でも販売してほしい。

おわり。

Papan village

A small village in Pela State located north of Kuala Lumpur. There is a historic wooden building here. A very beautiful hamlet worth visiting.

Location: Perak Malaysia
Shooting date: 1/2024
category: Abandoned Places
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