デポニヤ地区/Deponija

【シリーズ 世界のスラム街】

2023年8月某日、セルビアのベオグラードにあるデポニヤ地区を訪れた。ここはベオグラードの中心街より北東に4kmくらい進んだ場所にあり、ロマ族の方などが住んでいるエリアである。今回、ひと月ほどベオグラードに滞在する機会があったので、訪れた次第である。

先にお伝えしておくと、今回は結局、素敵なカフェで美味しいコーヒーを飲んで帰ったという実のない記事であることをご了承いただきたい。

こちらがデポニヤ地区近くのようす。

IMG_5668_20230930.jpg

ベオグラードはセルビアの首都であり、旧ユーゴスラビアの国の中でも最も大きな都市である。中心街に行くと近代的なビルが立ち並び、多くの観光客で賑わっているが、この辺りは廃墟も多く、雰囲気が一気に変わる。ここから1kmくらい進むとパンチェボ橋という大きな橋がある。その先からが、どうやらデポニヤ地区ということなので、まずはパンチェボ橋を目指す。

IMG_5638_20230930.jpg

少し進むと、数人の姿が前に見えてきた。歩いている方向からして、恐らくデポニヤ地区の住民の方である。そしてこんな所に東洋人がいるという違和感からか、私の姿を発見すると何かヒソヒソ話を始める。スラムあるあるではあるが、やはりこの緊張感は嫌である。

この辺りからゴミが目立ってくる。

IMG_5643_20230930.jpg

ちなみに上の写真の右側に少しだけ写っている橋梁が目的としていたパンチェボ橋である。どうやらデポニヤ地区の周辺エリアに入ったようだ。しかし周囲には、特に住宅のような物が確認できなかったため、とりあえず私も、皆さんと同じ方向へ進む。

5分くらい経った頃だろうか、ぽつぽつと住宅のような建物が見えてきた。

IMG_5644_20230930.jpg

IMG_5645_20230930.jpg

住宅のあるエリアに入っても、引き続き大量のゴミが散乱していた。ここまで多いと、恐らく市街地から出されるゴミを集め、錬金している可能がある。またこの辺りから住人の目が少しずつ厳しくなってきたので、注意が必要であった。

そしておそらく、デポニヤ地区の入り口思われるストリートに出る。

IMG_5647_20230930.jpg

写真に写る住宅の間を通過すれば、恐らくそこはデポニヤ地区である。しかしこの辺りはとにかく住人の方が多く、また東洋人である私は非常に目立っていた。あの通りを抜けるのは危険と判断し、別の入り口を探すため、今立つストリートを迂回して入れそうな場所を探す。

IMG_5646_20230930.jpg

それにしても凄い量のゴミである。スラム街にゴミが溢れるケースとしては、2つある。その地域が不法占拠の場合や、危険地帯でゴミの回収が困難であると判断された場合、行政から見捨てられるケースがある。もう1つは、先ほどもお伝えしたが、ゴミを錬金するケースである。ペットボトルや缶などを集め、業者にまとめて売ったり、粗大ごみや衣料品などを綺麗にし、中古品として販売する事もあるようだ。

ちなみに、このデポニヤ地区はベオグラードの中心を流れるサバ川に沿って造られた工地帯であったが、1999年におきたコソボ戦争でベオグラードに避難してきた方やドイツに避難していたロマ族の方が強制送還により、この場所に集まったという歴史がある。

D930F866-083E-45B0-8407-87A6AAD2B8A3_20231014.jpg

すると一人の少女が話しかけてきた。というか何だか怒っているようすだ。やはり東洋人が入って良いエリアではないようだ。大人などを呼ばれ、大ごとになったら面倒である。とりあえず私は彼女にGoogle Mapを見せ、近所にあるカフェに行きたいことを伝えた。万が一、住人に訪問の目的を聞かれた時の切り札として、事前に調べておいたものである。そのカフェは何故かデポニヤ地区の奥にポツンとある。

彼女は親切に迂回して進むルートを教えてくれた。ただ彼女の後ろにあるデポニヤ地区の真ん中を通ることは頑なに拒否してきた。明らかにデポニヤ地区を通る方が近いが、私の身を案じてか、それとも部外者の侵入を許さない門番か、詳細は分からないが面倒にならないように彼女の指示通り、迂回してカフェを目指すことにした。

IMG_5655_20230930.jpg

この辺りでは工場の廃墟が多く確認できる。先ほども説明したが、この辺りは元々は工場地帯であった。中には現役で稼働している建物も確認できたが、いまはその多くが機能していないようだ。

デポニヤ地区の周辺を1kmほど迂回すると、保険として調べていたカフェの案内板を発見する。

IMG_5657_20230930.jpg

何だかこれはこれで面白そうな展開である。看板が示す先はどう見ても、カフェがあるとは思えない場所であった。とりあえず、ここまで来たのでカフェを目指すことにした。

案内板から5分ほど歩くと、サバ川のほとりに佇むカフェが現れる。

IMG_5658_20230930.jpg

お客さんはいなかったが、店員のお父さんは明るく私を迎えてくれた。どうやら、このカフェの前からサバ川に沿って、サイクリングロードのような道があり、そこを通る人たちが立ち寄る場所のようだ。早速、私はお父さんがオススメするドメスティックコーヒーを頂くことにした。

IMG_5661_20230930.jpg

味わいや舌に残るコーヒーの粉から察するに、恐らくトルココーヒーに近いものである。セルビアを含むバルカン半島近郊で親しまれているタイプのコーヒーで、私もこの濃いコーヒーが好きである。結構な距離を緊張感もって歩いてきたので、良いコーヒーブレイクとなった。

その後も何とかデポニヤ地区の核に入れないものか試みたが、なかなか良いアタックポイントが見つからない。

IMG_5663_20230930.jpg

また先ほどのカフェから私を抜くように通過していったサイクリングを楽しむカップルが、慌ててデポニヤ地区の中心部から引き返してきて、私に『NO!NO!』と進むことを止めてきた。ここまで来ると本当に危険な可能性が出てきたので、私は大人しく撤退することに決めた。

私は2時間ほど滞在し、デポニヤ地区とその周辺を後にした。

IMG_5649_20230930.jpg

結局、デポニヤ地区の方とほとんどコミュニケーションが取れなかった。以前、ルーマニアのスラム街に行ったときにも感じたのだが、ヨーロッパのスラムは、東南アジアのスラムなどと比較して、非常に入りずらい空気がある。私との人種の違いが、より大きいという事もあるが、何かそこに住む方が受けている社会的格差などが、露骨に見えてくる。

スラムと呼ばれる場所は対人となるため、廃墟などと比べると、より危険に感じる場面も多くあるが、世界の様々な場所を見て回るにあたっては、変な言い方であるが、とても興味深い場所であるのも事実。これからも住人への配慮と自分の安全を確保した上で、お邪魔させて頂けたら幸いである。

おわり。

IMG_5652_20230930.jpg

Deponija

A slum on the outskirts of Belgrade, the capital of Serbia. The place has a lot of trash and is clearly unsanitary. Plans are now being made to create a park, but where will they go?

Location: Belgrade Serbia
Shooting date: 8/2023
Category: Slum
関連記事