自然公園にある給水塔の廃墟/Katowice WaterTower
【シリーズ 世界の廃墟】
2023年5月某日、ポーランドのカトヴィツェにある給水塔の廃墟を訪れた。ここはカトヴィツェの中心街より南に位置する自然公園の中にあり、かつて市内に水を供給する給水機として使われていた塔である。今回、ひと月ほどカトヴィツェに滞在する機会があったので、訪れた次第である。
こちらが自然公園の入り口のようす。
ここから1kmほど進んだ場所に目的の給水塔の廃墟がある。もっと近いルートもあったのだが、そちらは車道しかない様子だったので、少し遠回りであるが、こちらの道を選んだ。
訪れたシーズンは緑が映える頃であり、廃墟探索というよりは自然公園を満喫しながら、道を進む。ちなみに自然公園内はサイクリングロードになっているようで、道中には、いくつかコースの案内も確認できる。
最初は歩行して良いものか不安であったが、犬の散歩をされている方もいたので、特に問題はなさそうだ。気温もそれほど高くなく、軽い足取りで進んでいると木の陰から目的のそれが姿を現す。
どうやら無事、ご健在のようだ。都心部から離れていない廃墟は景観や安全面から取り壊されるケースも多くあるが、自然公園で静かに眠る給水塔の廃墟には、心配ご無用と言ったようすである。
木々が遮らない場所から見てみると、その状態の良さに驚いた。ちなみに給水塔とは一定の地域に安定した水量と水圧を送るための施設である。ほかの建物より高い位置から水を落とすことで、より強い水圧で水を供給することができる。日本でも団地や工場などで見かけることがある。
これは是非、塔の中も調査したいところだ。早速、給水塔へと近づき、入り口を探してみる。
残念なことに、入り口はコンクリートの壁で塞がれていた。これは侵入者が多い廃墟ではよくある事であり、仕方ないことでもある。せっかく来たので、塔の周囲を撮影して周る。
それにしても立派な給水塔である。調べてみると割と若い給水塔であるようで、戦後に作られたものらしい。カトヴィツェには他にもたくさんの給水塔が残されており、古いものでは100年以上前の給水塔もあるらしい。
工業地帯として栄えたカトヴィツェ。恐らく生活用水の他にも工場で使われる目的で、これだけ多くの給水塔が作られたのかもしれない。何だか給水塔の廃墟たちを巡るだけでも、カトヴィツェを楽しめそうだ。様々な角度から自然公園の給水塔を撮影し、帰路に就こうとしたその時であった。
塔への道は開かれていたのである。この激熱な演出を逃す訳にはいかないと、私はカメラにストロボをセットし、いざ塔内へ。80歳と同じ筋肉量の私には、かなりしんどい高さの入り口であったが、何とか内部へ入ることができた。
こちらが給水塔の内部のようす。
ストロボと画像加工によって、かなり明るくしているが、実際は外からの僅かな光が入るだけで、かなり暗い。床には酒瓶や衣服などが捨てられており、誰かの住まいであった可能性はあるものの、現役感はないので、とりあえずは一安心である。何より中央には大きな穴あり、周辺はもろく崩れていたので、こちらには注意が必要であった。
塔の内部には細い階段があり、どうやら上のフロアへ上がれるようだ。足元に注意しながら、階段を進む。
上のフロアはグランドフロアより幾分、明るかったが、とくに何か残されているわけではなかった。何より、床のコンクリートが、かなり不安定で、いつ底が抜けてもおかしくない状態である。さらに階段を使えば上に上がれるようだが、ここから先は更に細い階段で手すりもなかった。
さすがに、これ以上は危険と判断しグランドフロアへと戻る。
階段は肉眼ではほとんど見えない状態だったので、かなり怖かった。それでも階段の途中から撮影したグランドフロアは『ザ・廃墟』と言った感じで、素敵であった。
私は1時間ほど滞在し、自然公園にある給水塔の廃墟を後にした。今回、カトヴィツェの滞在でいくつかの給水塔の廃墟を見かけ、かなり気になっていた存在であったが、実際に内部を調査することができ、とても良い体験であった。しかし、塔から出た頃には汗だくで息を切らしていた自分に衰えを感じてしまった。体力作りからやり直しだ。
おわり。
Katowice WaterTower
Ruins of a water tower in Katowice Nature Park. The water tower has a short history, but the atmosphere inside was very good.
Location:Katowice Poland
Shooting date: 5/2023
category: Abandoned Places
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