カトヴィツェの赤軍墓地/Cemetery of Red Army soldiers
2023年5月某日、ポーランドのカトヴィツェにある赤軍墓地を訪れた。ここはカトヴィツェの中心街より少し南に位置するコシチュシュキ公園にある墓地である。今回、ひと月ほどカトヴィツェに滞在する機会があったので訪れた次第である。
こちらが赤軍墓地のあるコシチュシュキ公園のようす。
広大な敷地には広場や遊歩道があり、アクセスの良さから休日には多くの家族連れやカップルで賑わう場所である。また園内にはたくさんのモニュメントがあり、ポーランドらしい美しい公園である。
何だか可愛いヤツもいたりする。
目的の赤軍墓地は公園の外れにあるため、園内を散歩しながら向かっていると素敵な建物が現れる。
木製で作られた教会だ。歴史を感じさせるこの教会は【聖ミカエル大天使教会】という名前のようだ。調べてみるとシリニア村という場所で1510年に設立され、1938年にこの場所に移築されたとのことだ。現存するものでは、カトヴィツェで最も古い建物のひとつである。第二次世界大戦では、大きな被害を受けたカトヴィツェであったが、この教会はその戦火を乗り越えた貴重な建物でもある。
そしてこの教会を超えた細い道に目的の赤軍墓地がある。
墓地は膝ほどの高さの柵に囲まれており、立ち入って良いものか非常に分かりにくかった。しかし、入り口からでも十分に見渡せる広さだったので、敷地外から撮影することにした。
この墓地には、1945年カトヴィツェで亡くなった【赤軍の兵士】が埋葬されている。この赤軍というのは、旧ソビエト連邦の軍隊のことで、第二次世界大戦のきっかけとなったポーランド侵攻において、ナチスドイツの支配下にあったカトヴィツェを解放したのが、この赤軍である。当時、ソ連もポーランドへ侵攻していた立場なのだが、【ナチスドイツからの解放】と解釈されるこの辺りは難しい歴史である。
こちらが亡くなった赤軍兵士の墓石である。
とても綺麗に管理されており、赤軍の兵士に対しての敬意が込められているお墓である。しかし、歴史的に大切なこの場所で最近、事件が起きた。それは2022年2月末に墓石や赤軍の像がカラースプレーで赤く塗りつぶされていたのである。中にはメッセージが残されている物もあった。
メッセージの多くはロシアによるウクライナ侵攻を批判する内容である。旧ソ連=ロシアという意味合いで、行った抗議手段のようだが、実際に赤軍墓地にはウクライナ出身の兵士も多く眠っている。この事件はポーランドでもニュースやSNSを中心に話題になったようだが、現在は元の姿に戻されていた。兎にも角にも、犯人の主張は間違ったものである。
私は20分ほど滞在し、カトヴィツェの赤軍墓地を後にした。以前に訪れたクラクフという街でも第二次世界大戦過のポーランドの歴史や被害を学ぶことができたが、ここカトヴィツェでも赤軍墓地のほか、様々なモニュメントや歴史的建造物を見ることができた。やはり侵略されるということは、その国の人々や土地に大きな爪痕を残すものだ。一日も早くウクライナが故郷を取り戻し、平穏な日常を送れることを切に願う。
おわり。
Cemetery of Red Army soldiers
Grave of former Soviet soldiers in a park in Katowice. It was very meaningful to come to this historic place.
Location:Katowice Poland
Shooting date: 5/2023
category: Cemetery & Funeral
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