メドベドニツァ山の廃屋/Abandoned house on Mt.Medvednica

【シリーズ 世界の廃墟】

2022年9月某日。
クロアチアの首都ザグレブにあるメドベドニツァ山の廃屋を訪れた。

この廃墟はブレストヴァツ・サナトリウムの廃墟を訪れた際、偶然に見つけた廃屋である。それほど大きくない廃屋だったが、なかなかの取れ高だったので、ブログに掲載することにした。

こちらが廃屋までの道のり。

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なかなか雰囲気のある山道である。左手には今にも倒れそうな大木。もしそうなれば、太い枝木で串刺しになってしまうだろう。ちなみに目的の廃屋はブレストヴァツ・サナトリウムから、少し下った場所にある。

歩くこと15分。廃屋が姿を現す。

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今まで訪れた廃墟の中でも、トップクラスに雰囲気のある廃屋だ。普通の住宅の様にも見えるが、グランドフロアには幾つかの玄関が確認できる。もしかすると場所柄、ペンションなどとして使われていた可能性もある。


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半開きとなった玄関ドアを発見。早速、中へと入ってみる。

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建物内には当時の物が、かなり残されていた。廃墟としては素晴らしい状態である。キッチン道具や幼児用の椅子など、ここに住んでいた方の生活がある程度、見えてくる。

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それにしても、これだけ内臓が残されているのも珍しい。どのような理由で、この場所を去ることになったのか、その末路も気になるところだ。廃屋の場合、大量の請求書や退去命令の張り紙など、その理由が見えてくるケースもあるが、それらの書類を確認することはできなかった。

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最初の部屋だけでも、十分に魅力的な廃墟であったが、さらに奥へと進めるようだ。しかし、奥の部屋はほとんど空気の流れがなく、ひどく埃っぽい。ハウスダストなど幾千のアレルギーを持つ私には、かなり不安な空間である。呼吸を確保しながら、慎重に奥の部屋へと進む。

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この部屋もまた激しい状態である。大きなプラスチック製の容器や大きなガラス瓶が目につく。これらの情報から考え、やはり宿泊施設としても使われていた可能性が高い。私が入ってきた最初の部屋がオーナー家族の部屋。そして、この辺りが宿泊者たちに提供する食事を作っていたキッチン。他の玄関口は宿泊者たちの部屋と繋がっている。といった感じだろうか。

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置かれた物を良く見ると、それほど古いものではない。おそらく、ここ10年か20年ほどで廃墟になった場所だと考えられる。この手の廃屋において、嫌なのは猫やネズミの死骸があったり、当時の食品が放置されているケースだが、埃の臭い以外はそれほど感じなかったので、その心配は無さそうだ。

引き続き、置き捨てられた物をかき分け、奥へと進む。

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何だか雰囲気のある部屋の前へと来た。この先には、ほとんど光が入っていないようだ。暗い場所は床が抜けていることに気づきにくいので、足元にも十分な注意が必要だ。ライトを片手に中を覗いてみる。

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状態としてはかなり悪いようだ。これまでの部屋は物が散乱していたが、建物自体は状態が良かった。しかし、この部屋は天井も歪んでいる。それにしても、この部屋は何の場所だったのだろうか。最初は暗い雰囲気と木製の棚のようなものが、ケージに見え、豚や鶏などの家畜小屋とも考えたが、複数の2段ベッドが置かれている様にも見える。真相は不明である。

グランドフロアの調査を終え、外階段を使い、上のフロアへと上がってみる。

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階段はコンクリートで作られているので、安全に上ることができた。階段を上がるとすぐ、左手には長い廊下が現れる。

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どうやら建物を横断する長い廊下のようだ。またグランドフロアより劣化が進んでおり、写真では分かりづらいが、天井は大きく歪んでおり、床は歩くたびに大きく沈む。

中を進むと、いくつかの個室が確認できた。

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こちらもグランドフロアと同様に、当時の物がいくつか置かれていた。寝具やテレビなどがあり、いよいよ宿泊施設であった可能性が濃厚となってきた。

そして上のフロアには、大量のコウモリの糞があった。

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野良犬や浮浪者よりも厄介なコウモリがいるのでは長居は禁物。上のフロアの写真をカメラに数枚収め、この場を去ることにした。

私は30分ほど滞在し、メドベドニツァ山の廃屋を後にした。

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ブレストヴァツ・サナトリウムの廃墟を訪れた際に、たまたま見つけた廃屋。生活感満載の内臓がたっぷりで、なかなか魅力的な廃墟であった。結局、インターネットでも情報が少なく、この廃屋がどういう場所だったか分からなかったが、とても楽しい探索であった。これからも素敵な廃墟と出会っていきたい。

おわり。

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Abandoned house on Mt.Medvednica

It was a charming abandoned house with a lot of stuff on it. It's not dangerous, but exploration requires a certain amount of caution.

Location: Zagreb Croatia
Shooting date: 9/2022
category: Abandoned Places
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