キティラ砦の廃墟/Fortul Chitila
【シリーズ 世界の廃墟】
2022年8月某日。
ルーマニアの首都ブカレストにあるキティラ砦の廃墟を訪れた。
19世紀末に建設されたキティラ砦は、第1次世界大戦においてドイツ帝国からの攻撃を迎え撃った歴史のある場所だ。大戦後も引き続き軍用として使われ、主に弾薬などの保管庫として使われていたようだ。
さっそく、ブカレスト北駅よりキティラ砦の最寄り駅へと向かう。最寄り駅では、ちょっと強面のおじさんたちがお酒を楽しんでいたので写真は割愛。一気にキティラ砦へと進む。
こちらがキティラ砦付近の様子。
右手に見えるのは、ゴミの処分場である。主に金属や粗大ゴミなどが確認できる。キティラ砦はその横にある細い道を進む。途中からは舗装されていな道が続くが、危険な状態ではなかった。そして歩くこと数分。それらしき建物が遠くに見えてきた。
恐らくキティラ砦であろう。何よりゴミの処分場があるにも関わらず、不法投棄が凄い。ゴミの山を越えるとキティラ砦の全貌が姿を現す。
さすが砦の廃墟だ。長い歴史の中で風化や緑化が進む中、力強さを感じさせる魅力的な佇まいである。建物の中央にはChitila(キティラ)の文字が確認できる。
さっそく、内部の調査を進める。草木が生い茂っていたが、それほど問題な高さではない。しかし、私が歩くたびに小さなトカゲたちが慌てて逃げていく。廃墟で生きるモノにとっては、侵入者は恐怖でしかないだろう。
入り口から少し進んだ場所の様がこちら。
一部、崩落などが確認できるが状態は良い。後に改修された可能性もあるが、19世紀末に建てられ、大戦を乗り越えた砦とは思えない美しさである。
ひとつ気になるのが、無数のハエが発生していることだ。写真には写りこんでいないが、彼らの羽音が砦に響き渡り、とんでもないノイズに頭がおかしくなりそうだ。大型の死体が放置されている可能性もあるので、十分に注意したいところだ。
引き続き砦の内部調査を行う。
このあたりは四方をレンガの壁に囲まれており、より砦として雰囲気を感じさせてくれる場所だ。
ここから建物内へと入ってみる。
ストロボを焚きながら、前方の確認が必要なほど暗かった。内部の構造は一般的な砦や要塞と同様に長い廊下を伝い、幾つかの部屋に分かれている様だ。
海外の情報サイトでは以前、この場所は湖の中心にあり、その湖が凍った冬場にしか訪れることができないという情報もあった。また砦内が水没している写真もいくつかWeb上で確認できるが、現在はとくにその状態ではなかった。
さらに奥へと進もうとしたが、この先からはあまりにも暗すぎて状況が分からない。ストロボを焚くと先には階段があることが確認できた。恐らく、砦上部に繋がっており、砲台や銃眼があるのだろう。
最近、日当たりのよい廃墟が続いたため、ハンドライトを持ってくるのを忘れてしまった。ちょっと残念だが、これ以上進むのは危険と判断し、別の場所の探索を続ける。
こちらもまた雰囲気のある良い場所だが、すぐに行き止まりで調査するほどのものではなかった。
ここには焚火の跡があった。
焚き木の感じから察するに、かなり新しい物である。特に生活感はなかったので、誰かが棲みついているというより、近所の若者たちが一晩過ごしたものだと考えられる。
その後も進める範囲で調査を行い、数枚の写真をカメラに収めた。
私は1時間ほど滞在し、キティラ砦の廃墟を後にした。
ルーマニアの歴史において、重要な場所のひとつである砦の廃墟。とても魅力的な場所であったが、私の準備不足により何だか消化不良となってしまったのが悔やまれる。いつかリベンジのためブカレストに戻ってきたい。
最後に……
キティラ砦からの帰路は地下鉄を利用した。
車内の落書きがここまで酷いのは見たことがない。
おわり。
Fortul Chitila
Ruins of a fort on the outskirts of Bucharest. It is in good condition and fun to explore, but the interior is dark and requires a hand light.
Location: Bucharest Rumania
Shooting date: 8/2022
category: Abandoned Places
- 関連記事
-