リンナハル/Linnahall
【シリーズ 世界の廃墟】
2022年7月某日。
エストニアの首都タリンにあるリンナハルという廃墟を訪れた。
この廃墟はタリンの中心街にある巨大な建築物で1980年に完成し、2010年前後まで様々な目的で使用されてきた場所である。現在は廃墟となっているとの情報をもとに早速、リンナハルへと向かう。
こちらがリンナハル入り口付近の様子。
大きな広場の様になっている。コンクリートの地面からは雑草が生えており、整備されている感じではない。しかし、休日ということもあってか、そこそこの人がいた。この周辺は観光スポットも近いので、人通りは多いようだが、何よりリンナハルが結構人気のスポットのようだ。家族連れやカップルなど様々な人が訪れていた。
リンナハルは多目的施設として現役時代は活躍していたようだが、現在は建物内に入ることはできず、屋上のみが解放されているようだ。人通りも多いことや監視カメラなども設置されているため、侵入することは、ほぼできないだろう。
せっかくなので屋上へと上がってみる。
想像以上に広大である。海外のWebサイトで調べてみるとリンナハルには市庁舎やスケートリンク、劇場など複数の施設が入っていたようだ。
2010年頃には全ての施設が閉鎖となり、2015年に市庁舎の再建がタリンナ市議会で可決したが、現時点ではプロジェクトは進行していないようだ。また劇場は2019年に公開されたクリストファー・ノーラン監督の『テネット』の撮影でも使われたようだ。
それにしても不思議なデザインをした建物である。入り口付近から中央にかけては、まるで廊下のように縦長で、それに連なる複数の外階段が存在する。そして奥に行くと幅も広がり、まるで古い神殿を探索しているような気分であった。
リンナハルはレイン・カープというエストニアでは有名な建築家によって建てらたようだ。彼の他の建築物もいくつかWebで拝見したが、どれも魅力的であった。リンナハルと同様、階段が印象的な建物が多いなと感じた。もしかすると階段にこだわりのある方だったのかもしれない。
引き続き屋上の調査を進める。
ヨーロッパの廃墟らしくグラフィティが良く目につく。お城の廃墟など、あまり似合わない場所もあるが、廃墟となった建築物において、グラフィティもその歴史の一部であると思う。最近では廃墟に描かれたグラフィティを見ることも訪れる目的の一つとなっている。
縦長のリンナハルを歩き、ようやく反対側へ着いた。
こちら側はタリン湾に面している。写真の先に見えるのはヘリポートである。
この周辺は1980年に開催されたモスクワオリンピックでセーリングの会場として使われたようだ。ロシア国内でセーリング会場にふさわしい場所がなかったため、当時、支配下にあったエストニアのタリンでセーリングが行われたとのことだ。それもまたこのリンナハルの大きな歴史の一つとして残されている。
海に面したこちら側のリンナハルの顔もまたカッコよかった。
私は1時間ほど滞在し、リンナハルを後にした。
エストニア市民と長い月日を共に過ごしたリンナハル。廃墟となった今でもたくさんの市民が訪れるリンナハルは、彼らにとって大切な場所の一つなのかもしれない。何だか素敵な廃墟である。
リンナハル近くから見えたタリンの街はとても美しかった。
おわり。
Linnahall
One of the historical places in Tallinn. Currently, only the roof is open. It is also a place visited by many people.
Location: Tallinn Estonia
Shooting date: 7/2022
category: Abandoned Places
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