ブズルジャ記念館/Buzludzha monument
【シリーズ 世界の廃墟】
2021年3月某日。
ブルガリアのカザンラクにあるブズルジャ記念館の廃墟を訪れた。
廃墟マニアには言わずと知れた廃墟であり、一度は訪れてみたい場所である。また以前、「クレイジージャーニー」というテレビ番組で【世界四大廃墟】として写真家の佐藤健寿さんが紹介したことでも有名である。今回、ブルガリアに3ヶ月ほど滞在する機会があったので、暖かくなった時期を狙い首都ソフィアから電車で約3時間、私はカザンラクという町へと向かった____。
こちらがカザンラク駅前の様子___。
ブズルジャ記念館はカザンラク駅から北へ25kmほど山を登る必要があるため、徒歩ではさすがに厳しくタクシーで向かう事にした。地元でも知られた場所らしく、ブズルジャ記念館の写真を見せるとドライバーは一つ返事で乗せてくれた。天候も良いので今回は意外と楽な調査になりそうだ。
そして、ここから私の地獄が始まる。
30分後____。
無事にタクシーは目的地のブズルジャ記念館があるブズルジャ峠に到着した。道中は右に左にと、かなり揺れたため車酔いしたものの、その酔いは一気に冷めることとなる。
タクシーを降りるとそこは銀世界。
気温もグッと下がり、薄手のジャケットで来た私の震えは止まらない……。しかし、ここまで来て引き返す訳にもいかない。私はブズルジャ記念館を目指すことにした。ちなみにブズルジャ峠にあるホテルを予約していたのでタクシーには帰ってもらう事にした。
正直、自分が正しい方向に進んでいるのかも分からない……。しかし時々、ブルガリア人観光客とすれ違うので、それを目印に進むことが出来た。こんな天気でも観光客がいるとはブズルジャ記念館の人気の高さが伺える。
歩く事10分____。
ゲートらしき物とわずかに見える巨大な物体。まるで山に不時着した宇宙船のようだ。廃墟探索を始めて約6年。ようやくこの場所に辿り着いたと感動したいところだが、とにかく寒さで頭が痛い……。さっさと調査を済ませたい気持ちが勝る。
ブズルジャ記念館の下に隠れブリザードから避難。入口付近の壁にはブルガリア語の文字が刻まれている。どの様な内容が書かれているかは確かクレイジージャーニーで佐藤さんが解説していたので是非、DVDで確認して欲しい。
真新しい看板には「Entry Prohibited(立ち入り禁止)」の文字が書かれていた。どれくらい本気の禁止か分からないが、正面入り口にはしっかりと施錠がされていたため、とりあえず建物の外周調査を始める____。
こちら横から見たブズルジャ記念館の様子。円盤型のメインホールの窓は既に無く、建物内にも容赦なく雪が降り注いでいた。また天井もだいぶ抜けているため、恐らく中の状態は決して良くはないだろう。それにしても圧巻の大きさだ。このサイズはビルなどの高層廃墟を除けばトップクラスに大きい廃墟である。
こちらはメインホールの裏手にある塔。本来であればこの塔を含めたシルエットが美しいのだが、これだけ近くで撮影しても塔の先は見ることができない。塔の先には共産党のシンボルである赤い星があるのだが、それも見ることはできなかった。
ここで、私の限界が訪れる。頭をベルトで強く締められるような痛みが襲い、流石に限界だと判断した私はブズルジャ記念館を後にした___。
翌朝____。
こちらは一泊したブズルジャ記念館の近くにあるホテル。せっかくココまで来たので、私はブズルジャル記念館にリベンジをかけることにした。昨日よりは幾分天気が良いので、これなら綺麗に見えるかもしれない。
段違いの天候の良さ。昨日はまったく見えなかった場所からでもその姿が確認できた。ようやく本来の姿が見え、昨日の苦労と合わさり感動するものがあった。
ブリザードの中から見た建物も幻想的であったが、やはりこれだけクリアに見えるとその大きさに圧倒される。早朝ということもあり、私以外の観光客はいないようなので上手く行けば内部の調査もできるかもしれない。
横からの写真。屋根部分の劣化や水漏れなどは確認できるが、建物自体はまだまだしっかりとしている事が分かる。しかし肝心の侵入口が見つからない。元々入口だった場所や搬入口の様な場所は、全てコンクリートで塞がれ、中に入る事ができない。
クレイジージャーニーで佐藤さんが内部に入るために使っていた小さな穴も完全に塞がれており、これはどうやら本気で中に入れてくれそうもないようだ……。
ご丁寧に『Police(ポリス)』と書かれたブレハブも配備されていた。
後日インターネットで調べて分かったのだが現在、ブズルジャ記念館は保存に向けて動いているようだ。クレイジージャーニーもそうだが、最近ではリタ・オラのミュージックビデオなどにも使われている事からオフィシャルでOKを貰わない限り、入る事はまず難しい様子である。
私は1時間ほど滞在し、この場所をあとにした___。
内見が出来なかったのは非常に残念だが、念願のブズルジャ記念館に来れた事は本当に嬉しい。将来的には改修され、オフィシャルで内部が公開される日も来るかもしれない。その時にまたゆっくりと拝見したい。そう暖かい時期に……。
これでベルギーの「発電所の冷却塔廃墟」に続き世界四大廃墟も2つ制覇。残すはウクライナとイギリス。いつになったら普通に旅ができる日が来るのか……その時が来ることを願うばかりだ。
最後に……。
赤い星は帰りのタクシーから綺麗に見えた。
おわり。
Abandoned house in Tarragona
I hope this building will be protected and that the inside will be released someday.
Location: Kazanluk Bulgaria
Shooting date: 3/2021
category: Abandoned Places
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